exhibitions

tie _ UNION SODA Fukuoka 2019.11.21 - 11.27

  • tie / UNION SODA statement

    私たちは忘れ続けた。

    低気圧が頭痛と共にやってくることを。絶えず、外部に侵され続けていることを。他者を摂取することで、この身体を維持していることを。私の身体が、60兆ほどの細胞のあつまりである事を。きれぎれな、存在。生自体があまりに不確証であること。個人という認識の、底抜けの、悲しみ。それでも、私と名付けて生き続けていくことを。

    悲しい過去や辛い体験をありありと思い出す時、自分の身体が粉々になっていく様な感覚を覚える事が人にはあります。他人に肌を触れられる時、その人の冷ややかな体温が暴力的なまで身体に侵入してくるととともに、自分の温度がゆっくりと相手へと溶け出していく事があります。今この瞬間にも私の細胞は壊れ続け、生まれ直しているように、普段私たちが ”私” と呼んでいる存在はか弱く、流動的な存在です。それらの集まりが壊れることなく統合されている状態を”私”と呼び、私を繋ぎ止めておくために他者を求めつづけていきます。

    これらのシリーズ < tie > は知人の証明写真を一度ピクセルにおこし引き延ばすことで、各ピクセルごとに空白をつくりドット状に描いたものです。一見欠落だらけの色面が、目で統合されることにより、人物に見える知覚の構造に自己の在り方を重ね合わせています。ドットの集合体が、鑑賞者(他者)の目により人物のイメージを生成すること。つまりこのは作品の -絵画自身が持ちうる- アイデンティティ、および我々が他者の知覚により存在を呼び起こされていること。これらの作品が自己の脆さや、不確証さ、実存のための他者の必要性を、ささやかに提示するものあることを願います。

  • UNION SODA Fukuoka tie soh souen
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  • UNION SODA Fukuoka tie soh souen
  • UNION SODA Fukuoka tie soh souen
  • PS.

    もう一度考え直さなくてはならない。と去年の暮れから考えていた。とにかくもう一度考え直さなくては。思い起こすと岩のように冷たく重たい時期だった。一年ほど前から計画していた群馬へスタジオを移し制作する予定が頓挫し、全くどうしていいのかわからなくなった。そして絵を辞めよう、この想いに封をして違う道を歩む事も出来なくはないだろうと。描く事以外のことをほとんどしてこなかった自分を憎み、疲弊していた。今年の3月、本州を離れて福岡に帰省する。私が逃げたのは日本の西の隅ではなく、むしろ自分の身体の奥底であることをまず悟った。やめる事ができなかった。テナントを借りスタジオを構え新しいこのシリーズを始める。

    そこで、薄汚い白い箱の中で、私は知ることになる。淡々とした制作工程の中で描く事自体が、破れかぶれになった自分のアイデンティティーを縫い合わせる修繕作業であることを。自分を繋ぎとめておく抱擁であることを。全てが、断片的であろうとも、壊れてはいけないことを知った。生きるために、生きていくために繋ぎとめておかねばならない何かについて学んだ。

    もしかするとわたしもこの絵と同様に成立している。揺らいだり、裂け目に侵入にしながら、何とか保たれている。どれだけの白いブランクがあろうとも、埋まらない空虚があろうとも、私は出会い続けるのだと思う。

    PPS.

    京都から福岡に拠点を移す際、バラバラになってしまいそうだった自分を力尽くで抱きしめ、束ねてくれた友人たちに、静かに励ましていただいたギャラリストの瀬田さんに、遠く頭を下げる。そしてこの数ヶ月、徹底的に伴走者として走り続けてくれたUNION SODAの小寺さんに敬意を込め感謝する。

UNION SODA Fukuoka

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