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My tender passion, tender patience_ WKM GALLERYHong Kong2026.9.5 - 10.31

My tender passion, tender patience

私は問いかけたかった。人間のいちばん柔らかい部分を見つめること — 否定しえない温かさに触れること — それがあれば最終的に私たちは生きていけるのではないか、はかなくも暴力的なこの世界のまっただ中で、と。
ー ハン・ガン 『光と糸』

本個展では、作家のこれまでの「生」にまつわる探求と実践を幅広く紹介します。

本個展のメインとなる《Again and again》 は、これまで作家が継続的に行ってきたパステルを用いて制作された平面作品のシリーズであり、本個展で初めて大々的に紹介するシリーズです。

可塑的かつ粒子状の極めて不安定な素材特性をもつパステルで直接画面に手で触れながら、人の肌や身体に密接する衣服や装身具を描いています。

パフォーマンスやプロジェクト型の作品、その他絵画シリーズを並行してきた近年の作家にとって、本シリーズの制作は極めて私的なものであり、ときに制作の箸休めに、ときに眠れない夜に、騒がしい頭の中を鎮静するように制作を進めてきました。

直接的な接触の中で触覚に耳を澄ませながら、絵画の表面=「皮膚」を自身の皮膚で撫で下ろすように行われる制作過程は、ときに絵画の皮膚が私に手当てをしてくれているような感覚を与えてくれます。描く/描かれるという一方向的な関係を揺さぶり、画面と身体のあいだに相互的な感覚の往復の中でイメージが形成されます。
本シリーズを通して、他者の身体に触れることに内在する安心感と脆弱さを提示することができますと幸いです。

《Eggsersice》は作家の代表的なパフォーマンスであり、本個展では、パフォーマンスとそれにまつわる映像作品を発表する。

「生命の象徴である生卵を身体のくぼみに挟み、落とさないように動くこと」をルールに、自分の身体と他者の身体、または、壁や家具など空間にあるものとの間に生卵を挟み、何時間も落とさぬようにゆっくりと動きつづけるパフォーマンスシリーズである。

傷つきやすい身体で生きていく理由が知りたい
できることなら、わたしたちの身体を、何かを傷つけるためではなくて、
大切なものを壊さないために動かす方法が知りたい

このパフォーマンスが最初に発表されたのは 2022 年。その構想にはロシアがウクライナに全面侵攻したことも影響している。戦時下におかれた身体の弱さ、脆さに向けられたソウエンのまなざしは、戦争を批判することに留まらず、反戦への熱気が同調圧力となって、「守ることが傷つけることになる」反転の可能性にも注意深く向けられている。2022 年以降、現在も、ヴァリアントを生みながら各地で継続して発表されており、《Eggsercise》が内包する問いは、今なお続いている。

《N:20.04.260-04.05.26》は、ソウエンとキーウに住む「N」(仮名)との協働による映像作品である。撮影場所は、N の暮らす住宅地にほど近いバビ・ヤール。現在は公園になっているが、かつては峡谷で、第二次世界大戦中にユダヤ人をはじめさまざまな人々が虐殺された歴史を持ちます。

4 月の朝、バビ・ヤールの冷たい空気に、「N」の白い息が温かく漏れる様子を見たソウエンは、彼女と作品を作りたいと強く思ったと語っています。

「N」を取り巻く空気を採取し、そこに溶け込む記憶や土地の歴史といった目に見えないものにも触れようとする本作は、「空気」や「呼吸」といった、ソウエンがここ数年のテーに据えていた主題から、一人の人間の「生」をなんとか肯定する作品となっています。

「N」はウクライナ南東部に暮らしていたが、同地がロシア占領下となった 4 年前、故郷を離れることを余儀なくされ、キーウへと移り住んだ。故郷で彼女が経験したことを想像することは難しい。「N」もすべてを語ることはできない。それでもなお、言葉にすることの困難さを引き受け、自分と異なる他者も、他者と異なる自分も肯定しながら、お互いのことを思い続けることができるのか。本作は、終わりの見えない戦争という現実のなかで、やわらかな交感がもたらすことのできる何かを見出そうとする現在も続く旅の軌跡である。

Photo
Teddy Leung (1-9), Yumi Nomura (10-11)
Courtesy
the artist and WKM Gallery

WKM GALLERYHong Kong

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